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【第一回・感想】禅学入門/鈴木大拙|世界に禅を伝えた名著

7.03.2025

文学2

禅と書かれた水墨画に赤でBuddhismの文字が入っている

鈴木大拙さんの『禅学入門』は、元々は禅を海外に紹介する目的で英文で執筆したものでしたが、著者自らが現代の日本人のために邦訳し直した禅学の名著です。

『禅学入門』書籍情報


カテゴリとジャンル:〈文学2〉文系著書・思想・宗教

タイトル:禅学入門
作  者:鈴木大拙(すずきだいせつ)
英語名は D. T. Suzuki (Daisetz Teitaro Suzuki)
仏教学者、文学博士。石川県出身。1870〜1966年。
1963年のノーベル平和賞の候補(受賞は逸した)。


 簡単な内容紹介 

禅の思想を語っている本。坐禅のHow to本ではない。

読書難易度:
タイトルは『禅学入門』ですが、結構理屈っぽい本なので初学者以上の人向けのように思う。

これの原書は『An Introduction to Zen Buddhism』で、欧米人向けの英語本だったそうですが…。
日本人でも今まで仏教に無縁で予備知識ゼロの方ですと、本書を理解するのはなかなか難しいんじゃないかな。特に前半。
ひょっとしたら中級者でも完全に理解するのは難しいかもね。
なのでタイトルの『入門(=Introduction)』という文字にモヤるかもしれません。宗教本なので、なおさらだ😅
私は「ん?」と立ち止まる文章に遭遇するたびに「お馬鹿ちゃん」と言われているかのような被害妄想的モヤモヤを感じた。

でも臨済宗に関心や信仰心をお持ちの人なら、あまり分からなくても読む価値はあると思います。

感想・レビュー

鈴木大拙さんといえば、禅を「ZEN」として世界に定着させた功労者。 天才哲学者のハイデガーをも唸らせた人。
Apple社の創業者の一人スティーブ・ジョブズが禅に傾倒するきっかけを作ったり、作曲家ジョン・ケージに多大なる影響を与えた人。
鈴木さんってなんて凄い人なんだろう✨と思って手にした本。

つまり臨済宗の禅思想を学びたかったわけではない。鈴木さんが何を考えているのか、その凄さ覗いてみたかっただけなんです。

読書テンションが… 

本書は世間の評価が高いですし、私も良い本だとは思う。

臨済宗には今まで全く縁が無かったが、学生時代は曹洞宗系の学校に通っていたので(でも信者ではない😊)、少しは予備知識があり、一応読了できた。
実はだんだん読書テンションが下がっちゃって、後半はパラパラ斜め読みになっちゃったんですけどね😅

理由は

仏教界のカリスマヒーロー開祖・釈迦、異教の聖典に名が記されブッダ(悟った人)と称賛された釈迦の直弟子・舎利子(異教の聖人の器のデカさも凄いね👏ちなみにジャイナ教ですわ)、空の思想を確立した龍樹をはじめ、仏教界には凄い人達が大勢いたことも知っている。

でもぶっちゃけると鈴木さんについては「?」だった。
この本一冊だけでは、私には鈴木さんの凄さが判らなかったのかもしれない💧
鈴木さんは、仏教知識が豊富で語学力も高いのでしょう。
けど無名の住職さん達の仏教本や仏教ブログ等と比べて、特別に抜きん出た何かを見い出せなかった💧

私の期待だけが高過ぎて、信仰心が薄過ぎたせいかもしれない。

また、鈴木さん個人の意見として書かれていた部分に、疑問を感じるところや共感できないところがチラホラ有ったせいかもしれない。
その原因は、私とは禅を見る立ち位置が違うからだろう。
鈴木さんは臨済宗ミームの内側にいて、多分私は宗教ミームと無宗教のボーダーラインあたりだろう。同じ禅でも見える景色が違うのは仕方ないね。

あとタイトルへのモヤモヤ。
ジャンルはちょっと違うが鈴木さんのようにタイトルに『入門』の文字を入れて哲学本を執筆した飲茶さん。
彼の本はビギナー🔰にとことん優しく、楽しく、わかり易く思想を説明していた。その文章力の凄さと誠実さを再認識できた。伝える努力をしていたんだなぁ。

一方、鈴木さんは大衆に広く伝えようとする意志があったわけではなくて、最低限の予備知識くらいは有していて、臨済宗のZENの沼にハマってみたい知的な欧米人が対象だったのかもしれないなぁ。

そんなわけで『禅学入門』への読書テンションが段々低下してしまった。

臨済宗に思うこと 

黄檗宗は全く知らないので、曹洞宗と臨済宗の2宗派に限定するけど、私は、曹洞宗と臨済宗って禅宗パラレルワールドみたいなもんだろうと思っている。
そこに優劣も正誤も無く、ただ悟りに至るルートがちょこっと違うだけだろうと思っている。

釈迦の説法から仏教が始まり、2500年程の間に多種多様な宗派が分立した。
そこには仏教存続にあたっての諸事情など色々あったでしょうけど、悟りに至るルートがいくつも拓かれたことは、興味深いね。
視点を変えれば、釈迦の教えが「完璧で正しい教えとはいえない」「ベストな教えとはいえない」と考えた者達がいたってことでしょうから。

でも私は、それが一概に悪いことだとは思っちゃいない。カルトへの変質や、争いや苦を生じさせるような悪改でなければ、アリだと思うんだ。
なぜなら大昔の人間が考えたことが絶対で、その考えを越えようとすることがNGであるならば、人間は進歩しないと思うので。

なので、臨済宗もアリだと思った。信者になる気は無いが(笑)。

まとめ

今回は鈴木大拙さんの『禅学入門』の感想でした。

臨済宗にとって鈴木さんは、禅を広めてくれるインフルエンサーとしてありがたい存在だったんだろうね。 とはいえ宗教本なので、読む人を選ぶ本ですけどね。
日本人なら、多少なりとも臨済宗への信仰心を持って読むのがベストだろうなぁ(残念ながら、私はベストではなかったけど…)。

臨済宗の《禅》を知りたい方にとっては良書だろうと思う。
臨済宗の思想の副読本として良さげでしたよ。
仏教や臨済宗や禅に興味がある方なら、きっと得るものが有ると思う。

興味がある方は手にとってみてくださいね。

 関連書籍 

こちらも鈴木大拙さんの禅についての著書です。



.つづく 😊.


『雨月物語/鈴木大拙』のシリーズ記事

『禅学入門』の記事は二回シリーズになっています。

〈文学2〉文系著書・思想・宗教
禅と書かれた水墨画に赤でZENの文字が入っている
【第二回・感想】禅学入門/鈴木大拙|鈴木さんが語る禅について

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