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【感想】現代思想の遭難者たち/いしいひさいち|哲学パロディ

4.12.2025

文学2

ラファエロが描いたアテネの学堂

いしいひさいちさんの『現代思想の遭難者たち』は、世界中の有名な哲学者達の特徴を捉えて、オチやギャグを絡めながら表現したパロディ系のマンガです。

『現代思想の遭難者たち』書籍情報


カテゴリとジャンル:〈文学2〉文系著書・哲学・マンガ

タイトル:現代思想の遭難者たち
作  者:いしいひさいち

漫画家。岡山県出身、1951年〜。


 簡単な内容紹介 

有名な哲学者達34人の特徴や思考をちょっとデフォルメして面白おかしく描いたマンガ。基本的には4コマ。

読書難易度:
マンガなので読むだけなら難しくはないです。

感想・レビュー

良かった!!これを描ける人は、いしいさん以外にはいないだろう。凄いな。

正直言うと、画風も4コマのマンガ自体も特別好きと言うわけではない。
でも昔、気まぐれでなんとなく手にした一冊なんですよね。つまり期待していなかったわけです。
ところが予想外に面白かったんですよ。

なんというか…、私的にとってはある意味カオスな本だった。きっとアレだ、この漫画は読者も遭難させちゃう稀有な一冊ですわ(笑)。

【POINT1】天才いしいひさいち氏 

作者であるいしいひさいちさんといえば、4コマ漫画の奇才とか革命者とか評されている日本の漫画界の大御所さんですな。
一部のコアなファンからは、熱狂的に礼讃されているそうですね。
漫画家としてのキャリアが長いので、いしいさんの漫画を読んだことがない人でも、日本人ならきっとどこかで、いしいさんの絵を目にしたことがあるのではないでしょうか?

で、どのへん天才かというと音楽、文学、政治、青春、スポーツ、忍者、バイト… いかなるものが題材であろうとも、いしいさんらしい4コママンガにできちゃう底力が有るんですよ。守備範囲広いというか、知識量が凄いというか博学。

【POINT2】いしいワールド 

いしいさんの作品はギャグ・パロディ路線ですが、その世界観はいつだってシュールでナンセンス。そして毒のあるユーモア。
時にはひねりが効きすぎて意味不明だったり、シュール過ぎて理解不能なものもあるけど、なんか笑っちゃう。
故に「いしいワールド」。
意味不明や理解不能なところも含めて楽む一冊じゃないかと思う。

【POINT3】ポイント学術書(?) 

こんな難しいジャンルによくチャレンジしたなぁ、と感心するしかない👏

しかもコレ、4コマのパロディ漫画でありながら講談社学術文庫。ということは…、講談社公認の学術書という理解で良いのかな?かな?(笑)

だがしかし

ぶっちゃけこれを読んだからといって、哲学通になれるわけではありません😆 そりゃそうだよね。哲学者をおちょくった漫画ですし(笑) でも有名な哲学者の方々を知るキッカケにはなりますよ。

普通、哲学書って一般的にはそんなに読者が多いわけでもないし、読書難易度の高い本ばかりで人を選ぶ本ばかり。
なんで哲学書ってあんなに小難しい表現だったり、無駄にワンセンテンスが長かったりするんでしょうかね。

一方、この漫画は4コマのギャグでありながら、それでもなお簡単ながらも人物紹介や要点を押さえた注釈を添えているんですよ。
なんという皮肉。じわる(笑)。良いなぁ、いしいさん👍

【POINT4】笑いどころが謎 

フロイト、ニーチェ、ハイデガー、ウィトゲンシュタインあたりの超有名な哲学者や思想家、いや遭難者達はともかく…
名前しか聞いたことがない遭難者や、名前すら知らなかった遭難者も結構いた。
人物の紹介や思想など簡単な注釈は書かれていても、どのへんで笑えばいいのかさっぱりワカランかったり、ワカランけどなんだか笑えるものもあったりした。

そういう意味では手強くて難しい漫画である。さすが学術書!(え?)

多分、この漫画の全ての笑いどころが全部理解できて笑える人って、哲学者くらいしかいないんじゃないだろうか?
ホントものしりだな、いしいさん。

漫画のネタが、本質を捉えていると言う人、捉えていないと言う人、両方いらっしゃるんじゃないかなと思いますが、きっと講談社としては的外れではないと判断したから出版したのでしょう、多分。知らないけど(笑)

何が言いたいかっていうと、もしも自分の理解とは少しばかりズレていたとしても、これはダジャレ多めの知的パロディ。勉強も、趣味も、暇つぶしも楽しんでナンボ!とりあえず目くじら立てずに笑えるところは笑っちゃおう。

まとめ

今回は、いしいひさいちさんの『現代思想の遭難者たち』の感想でした。

ちょっと古い作品なんですけど、世間から忘れ去られてしまうのは、あまりにももったいない名著、というか迷著かもしれん(←褒め言葉ですよ😆)と思ったので、ここでピックアップしてみました。

ちょっと知的で笑える暇つぶしとしていかがですか?

なお、講談社の『現代思想の冒険者たち』シリーズ (全31巻)を題材にしているので、漫画のギャクをより深く熱心に理解したい方は、そちらを読んでみるのも良いかもしれません。

また、『現代思想の遭難者たち』よりももう少し詳しい哲学の入門書なら、飲茶さんの『史上最強の哲学入門』がおすすめ。ちなみにこちらの本も少し漫画のパロディが入っていますね。

Thank you!
では、またね😊


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