【第三回・深読み】アンドロ羊|マーサー教を読み解いてみたの続きです。今回は、最も難解だと思われるマーサー教の神話の意味について読み解いてみました。
マーサー教が見せる映像
宗教ですので追体験の内容は、マーサー神話と呼んでいいんじゃないでしょうか。
マーサー神話の意味
キリストの生涯を元にして、アレンジしたストーリーになっているような印象でしたので、キリストのエピソードをもとにして読み解いてみました。
・実は俳優だった雇われ教祖マーサー
マーサーは、キリストのメタファーですね。
救世主・預言者・人間を導くために地上に遣わされた神の子だと人類に認識させたい意図を持って作られた虚像・アイコンでしょう。その役割は扇動者だと思う。
マーサー神話の前半
・漂流していた少年マーサー
教祖マーサーは人から生まれたのではなく、母なる海からやってきた神の子だと、遠回しに権威付けしたいんじゃないですかね。キリストのシンボルは魚ですし。
その当時が素敵な世界なのは、第三次世界大戦前の平和だった頃の地球を示唆しているのでしょう。
・死んだ生物を蘇らせる時間逆光
キリストが死者を蘇らせる奇跡を起こしたエピソードになぞらえたんでしょう。
マーサーが蘇らせた生物は、第三次世界大戦で犠牲になった罪無き生命。
神に逆らい争う権力者(殺し屋)が、蘇らせてはいけないという決まりを作ったんだと思う。
・密告する老婆
新約聖書に登場する裏切り者ユダのメタファー。
老婆の密告先は、神に逆らい争う権力者(殺し屋)サイドでしょう。
・殺し屋
キリスト教のサタン、大いなる敵のメタファー。
マーサー神話では、神に逆らい争う権力者(殺し屋)。核兵器使用によって墓穴世界を作る決定をした者だろう。
大いなる敵って便利なんですよね。ミームの結束力を強固にして信者をコントロールするアイテムになるので。リアルな歴史がそれを証明している。
・マーサーの脳の超感覚小節
神と交信するアンテナ。それを神に逆らい争う権力者(殺し屋)に破壊されたので、マーサーは交信できなくなった。死者を蘇らせる能力も、このアンテナを通して神の力を発現させた感じかもね。
再生後の超感覚小節は神との交信だけでなく、信者との交信や共感ボックスに送信できるインターフェースのような役割をしている、という設定じゃないですかね。
・墓穴世界に落ちたマーサー
キリストの磔刑、人類の罪を償う贖罪のメタファー。
マーサーが墓穴に落ちたのは、マーサーが亡くなったからでしょう。
この出来事は第三次世界大戦が核戦争にまで発展し、多くの生物の生命を奪ってしまった出来事を示唆していると思う。
・墓穴世界の死体
核戦争の犠牲になった生命の象徴でしょう。
マーサー神話の後半
・上昇する死んだ動物達とマーサー
キリストの死と復活のイメージでしょう。
これは、人類に贖いをもたらすという神の計画の成就であり、全人類的な死者の復活を意味するそうだ。
マーサー神話では、戦争で犠牲になった罪無き動物達は、墓穴から上昇してかつて生きていた場所で復活した。マーサーは全人類が救われるまで、全ての生命が復活するまで何度でも登り道へ。と思わせたいんじゃないですかね。
・繰り返す登り坂(登山)
ヴィア・ドロローサ(悲しみの道)のメタファー。
処刑宣告を受けたイエスが、ゴルゴダの丘まで歩んだ道のこと。
・姿無き虐待者が投げる石
キリストの苦難と受難のメタファー。
キリストがヴィア・ドロローサを歩んでいた時、人々が石を投げつけていたエピソードになぞらえているんでしょう。
追体験する信者達とイジドア
マーサー信者=共感ボックスの利用をして、マーサーの人生を追体験する信者の意味を考えてみました。
信者達
・信者は人類の罪を背負ている
罪は神に逆らい争う権力者(殺し屋)に従い、戦争をした事じゃないですかね。原罪みたいなもんかもしれません。
・信者を何度も追体験させる理由
刷り込み、洗脳。
・マーサー神話で伝えたいこと
人類の犯した罪はとても大きい。
神の子マーサーは人類が犯した罪を共に背負い、償いが終わる時まで何度でも死と復活を繰り返し、苦しい坂道を共に登り神の声を人々に伝え導こう。
常にマーサーはあなた達と共にあり、常にあなたは我々と共にあるのだから孤独ではないのだ。神は我々を見捨てたりしないのだから、あなた達は既に救いの中にいるのだ。
生きている限り苦難の道に終わりはないが、苦しくともただ登り続けよ。辛くとも疲れ果てても耐え忍んで生きよ、と言いたいのでしょう。
イジドア
・イジドアの感想
イジドアは、マーサーの追体験している時に感想を述べている。
この時のイジドアは、神に選ばれし者(実は役人に強要された)・クレネ人シモンのメタファーだろう。
十字架を背負ったキリストが、ヴィア・ドロローサを歩む途中で何度も倒れてしまった為、何も知らない旅人シモンが、キリストの代わりに重たい十字架を背負わされてしまった。
シモンは、そのままゴルゴダの丘までキリストの後ろを歩いて十字架を運んだという。
その時のシモンの心境を代弁している感じじゃないですかね。
- ユダヤ人社会の外の人シモン➔キリストと共にヴィア・ドロローサを歩く➔十字架重い😭なぜキリストが処刑されるのか知らない。
- 適合者社会の外の人イジドア➔追体験でマーサーと共に坂を登る➔石ぶつけられて痛い😭なぜマーサーが石ぶつけられながら坂を登るのか分からない。
二人の構図がソックリでしょ。
『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』の記事は、こちらでも紹介しています。