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【特集】大元帥昭和天皇の真実と実像に迫る!目から鱗の著書2選

6.01.2025

文学2

闇の中でぼんやり浮かび上がる赤い菊

昭和天皇の真実と実像に迫る貴重な文献、山田朗さんの『大元帥 昭和天皇』、寺崎英成さんとマリコ・テラサキ・ミラーさんの『昭和天皇独白録』の感想です。

はじめに

あらかじめ言っておこう。
私は反天皇派でも親天皇派でもない。戦争責任を昭和天皇一人に決め付けたいとも思っていません。
しかし皇室や天皇への崇拝的な感情を強くお持ちの方は、この記事を読まれるのは非推奨です。

第二次世界大戦において、世界の犠牲者数は推計約5500万人〜8500万人。そのうち日本人が約310万人。これほどの大規模な戦争が、一人や二人の思惑だけで突き進んだはずがないし、日本の開戦と戦中と敗戦の責任も一人や二人のわけがない(ドイツも然り)。

歴史ってやつは点ではなくて線だ。日本には黒船来航あたりから始まる遠因があった。
また、経済事情に政治問題、資源問題、軍部の暴走に、マスコミの煽りと世論の後押しやら色々あった。
外に目を向ければ、植民地だらけになっているアジアの中の日本という立場もあったし、関係各国の事情もあった。
戦争に向かう色んな条件が揃ってしまったんだろう。要するに単純ではなかったと理解している。

予備知識
第二次世界大戦
1939年9月1日〜1945年9月2日
太平洋戦争
1941年12月7日〜1945年9月2日
昭和天皇在位期間
1926年12月25日〜1989年1月7日

大元帥 昭和天皇


カテゴリとジャンル:〈文学2〉文系著書・歴史

タイトル:大元帥 昭和天皇
著  者:山田朗(やまだあきら)

歴史学者。専攻は日本近代史・日本軍事史・天皇制論。学位は博士。明治大学文学部教授、歴史教育者協議会委員長。


 簡単な内容紹介 

昭和天皇の発言や動きから、天皇が大元帥としてどのように軍事に関わったのかをまとめ、いかなる情勢判断をしたのかにフォーカスして、昭和天皇の実像を明らかにしている。
昭和天皇の戦争責任を追求する目的の本ではない。

読書難易度:
難しくはないです。ただ皇室や天皇への崇拝的な感情を強くお持ちの方ですと、受け入れにくい内容かもしれません。

 感想・レビュー 

実は昭和天皇は、軍と一体化して積極的に戦争に介入し指導してきたことを明らかにする一冊でした。

そもそも昭和天皇は、陸軍大将の乃木希典さんと海軍大将の東郷平八郎さんの教育を受けていたのだから、戦争に無知なはずがない。むしろ戦争のエリート。
そして大日本帝国憲法のもと、国家元首と日本軍総司令官をやっていた。つまり国家と軍事の主権を握っていた者が、ただのお飾りになってちんまりしていたとは考え難い。
なので「そっか、史料が残っていたんだね、やっぱり政戦両面で深く関与して、権力を行使をしていたんだね」という感想だった。

昭和天皇は太平洋戦争に反対していたと言われているが、実際は、開戦を望む者達がマトモな戦略を示さないから、最初は躊躇していただけみたいね。

昭和天皇独白録


カテゴリとジャンル:〈文学2〉歴史・ノンフィクション

タイトル:昭和天皇独白録
著  者:マリコ・テラサキ・ミラー

在米日本名誉総領事。1932年〜2016年。
寺崎英成さんの娘。
著  者:寺崎英成(てらさきひでなり)
日本の外交官、元・宮内省御用掛。神奈川県出身。1900年〜1951年。


 簡単な内容紹介 

昭和史の超一級資料と言える書籍。
寺崎英成さんの『昭和天皇独白録』と、寺崎さんの娘マリコ・テラサキ・ミラーさんの『遺産の重み』の2部構成です。

読書難易度:
こちらも『大元帥 昭和天皇』と同じく、特に難しくはないけども、皇室や天皇への崇拝的な感情を強くお持ちの方ですと、受け入れにくい内容かもしれません。

 感想・レビュー 

昭和天皇が側近に対して語った談話をまとめた記録書。ちなみに寺崎さんは、マッカーサーさんと昭和天皇の会見時に通訳をされていた人ですな。

タイトル通り昭和天皇の独白が記されているわけだが、こちらの本も多くの日本人が持っていた、昭和天皇に対する認識とは違っているんじゃないでしょうか。

一番唖然としたのは、昭和天皇が国民の生命よりも、自分の命と三種の神器の方が大切だったこと(詳しくは本書を読んでみて)。
これは人間として理解も共感もしたくもないな。
この本が事実なら、その事実を万人が知っていたなら、遺族は、戦争を経験した人々は一体どう思うだろう?亡くなった犠牲者達も報われないな。

まとめ

今回は、山田朗さんの『大元帥 昭和天皇』、寺崎英成さんとマリコ・テラサキ・ミラーさんの『昭和天皇独白録』の感想でした。そんなことだろうとは薄々感じていたけども…、この二冊を読んで、なるほどなと思った。幻想を吹っ飛ばす良き本だと思ったよ。

敗戦後の所謂オトナの事情から、天皇の戦争責任を問わないシナリオを考え出し、美談を作りあげて聖性を維持したまま、無力な操り人形・平和的主義者の虚像を国民に見せていたんだねぇ。
後ろめたい人って表を立派にしようとし過ぎる事が多いもんだけど、似たようなもんかな。

確かホワイトハウスで「私が深く悲しみとするあの不幸な戦争」と発言した件を記者に質問されたら「そういう言葉のアヤは〜」「文学方面は〜」と大変残念な返答してた。原爆を「やむをえなかった」とも言ってたね。
その後、宮内庁長官が弁解していたけども…

結局、敗戦後のGHQによる民主化政策で、昭和天皇は地位は残れども権力剥奪され、ただの人間に天下りさせられ、本当に象徴にされちゃったから責任を取らされたと言える、かもしれん。

しかしGHQとの絡みがあったにせよ、この二冊が事実なら、このお方は闇が深すぎる。
約310万人もの日本国民の生命が犠牲になった。広島県と長崎県が徹底的に破壊された。天皇なら自分の民と自分の国やん。戦犯裁判では約5700人起訴され約1000人が死刑になった。大元帥なら全員自分の部下やん。
当時は全国民が、天皇は神・死しても天皇に忠・天皇万歳と教え込まれていた。
そして現在、硫黄島など遺骨が残ったままになっている所だっていくつもある。そういう意味では、令和になってもなお戦禍は続いているんだ。

こんなん日本史上、前代未聞の悪夢やん。
せめて皇太子が結婚した後に頃合いを見て、昭和天皇には早々に生前退位してもらった方がよかったのでは?
そしてひたすら戦争の犠牲になった方々と向き合って、戦没者慰霊の旅や原爆死没者の慰霊に専念してもらった方が良かったんでは?と思った。確か生前退位は国会で決議すれば可能でしょ。

素人の感想と想造に過ぎませんが、そんなことを思った。
それにしても日本人って優しいなー。

二冊とも昭和天皇の実像を知ることができる貴重な資料だと思う。日本人なら一度は目を通した方が良いと思える名著でした。

Thank you!
では、またね😊


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