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【感想】遠野物語/柳田國男|遠野地方の古き良き里山住民の記録

1.04.2025

文学2

見事に紅葉した樹木

柳田國男さんの『遠野物語』は、日本の民俗学の礎と評価されている著書。岩手県遠野地方に古くから伝わる習俗や伝説、民間信仰や体験談や噂話を、庶民から口述で聞いて執筆し、1910年に発表した。

『遠野物語』書籍情報


カテゴリとジャンル:〈文学2〉文系著書・民俗学

タイトル:遠野物語
作  者:柳田國男(やなぎだくにお)
民俗学者・官僚。兵庫県出身。1875年〜1962年。
日本民俗学の創始者と言われている。日本国内を旅して回り、民俗・伝承を調査。日本の民俗学の確立に尽力した。文化勲章受章。

本作には原文、口語訳の他に、漫画家の鯨庭(くじらば)さんや、水木しげるさんによって漫画化されたものもある。


 簡単な内容紹介 

明治43年(1910年)に刊行されたもの。当時の岩手県遠野地方に暮らしていた庶民の生の声を記した記録物・文献。

読書難易度:
口語訳版の読了は簡単。原文だと読書難易度は少し高くなるが、文章量が少ないので、興味のある方はチャレンジしても良いかもしれません。

感想・レビュー

『遠野物語』といえば、柳田國男さんの代表的な著書の一つですね。何より、記録物・文献という意味で名著! 記録文の中に垣間見える庶民の生活・文化・民間信仰・死生観・自然観など貴重な資料だと思う。

ひょっとしたら同じ話でも、村人によって多少の違いがあったかもしれない。そしてたまたま柳田國男さんが聞いた村人の話が、遠野のスタンダードになってしまったケースもあるかもしれない。
だとしても、記録として残されたことには価値が有ると思う。

一つだけ残念だと思ったことを言うと、最初の「平地人を〜」の一文は要らなかったんじゃないかなぁって気がする(笑)。柳田國男さんの熱い心意気は伝わるけどね😊

〈口語訳版〉

【POINT1】ノスタルジック 

素朴なノスタルジーを感じる著書ですな。昔ならではの閉ざされた共同体の中で共有される幻想らしきものや、異界と現(うつつ)の境が曖昧な世界観といった味わいもある。

地元のノスタルジック

ウチの地元にも『遠野物語』のような伝説があったのを思い出した。

ウチの近くの山には、天然の小さな池(湖?)がある。
池の周りでは、春になると山桜が咲き、それから藤が咲き、ヒメシャガが咲き、夏にはネムノキが咲き、秋には萩が咲く。池の近くには天然の湧き水が出る場所もある(知る人ぞ知る名水らしい)。

文章だけ見ると、まるでステキな観光名所みたいな感じかしら?でも実際はショボい池なので、残念ながら観光スポットにはなり得ないんだな(笑)。せいぜい地元民が、フナやナマズを釣りに訪れる程度。

この記事のために、さっき撮影してきた池の写真(えらーい✌)を入れておこう。

天然の池とピンク色のレンズフレア
〈伝説の池〉右上にピンクの光がっ!(レンズフレアだよ)
天然の池と赤いレンズフレア
〈伝説の池〉こっちには赤い光がっ!(だからフレア)

この山(及びこの池)には、龍王伝説🐲があるんだけど、きっと地元の人達から忘れ去られてしまった伝説だろう。
確か・・・、昔々の地元民達は、この山(この池かも)に龍王達🐲が眠っていると信じていたのだとか。それで何やら祈祷 or 儀式をしていたそうだ。うろ覚えだけど。

ちなみに日本の龍については、南方熊楠さんの民俗学系エッセイ『十二支考』に詳しく書かれているので、もし興味があればそちらも読んでみると良いかもしれませんよ。

それともう一つ。
その池のすぐ近くに、妖怪もどきの女(牛女🐮かな?鬼女👹だったかな?)が出る、っていう怪談話(民話?)もあったハズ。
でもその話もいつの間にか忘れ去られ、現在は、四つん這いで走る婆さんの幽霊👻が出る、という細やかな噂のオカルト・スポットに変わってしまった。とはいえ、その噂すら忘れ去られつつあるけど。
勿論オカルトチックな輩は出ません(笑)。リアル熊や猪なら😱

話を戻そう

何が言いたかったかというと『遠野物語』のような話は、昔は日本じゅうで普通にあったんじゃないの?けれど戦後の近代化が進む中で、その殆どは語り継がれることも無く、人々の記憶から消え去っていったんじゃないの?
って思ったんです。

柳田國男さんに書き残してもらえた遠野の皆さんは幸運だった。これは遠野地方の宝物のような本じゃないだろうか?

【POINT2】共同幻想か実話か? 

たとえ『遠野物語』に記された話が全て共同幻想の類であったとしても、当時の遠野の方々は事実として受け止め、実話として語ったのだろうと思う。
そして柳田國男さんも、実話として真摯に耳を傾けたからこそ、119話も集めることができたんじゃないだろうか?

だから当時の遠野の人々にとっての事実を残したくて柳田國男さんは、あえてあまり整理しないままに淡々と羅列したのかもしれない。オチもストーリー性も無くて「なにこれ?😅」な話も掲載したのかもしれない。
それらも含めて古き良き里山住民のリアルだと思う。 ホント素晴らしいな✨

〈自筆・原本収録版〉
こちらは、明治時代に350部で自費出版されたという毛筆草稿からペン字原稿、初校などを収録し、編集委員会の三浦佑之委員長らが解説したもの。

まとめ

今回は民俗学者・柳田國男さんの著書『遠野物語』のレビューでした。

日本人として一度は目を通しても良いかな、と思えるような価値の有る本でしたよ。

それと『遠野物語』には漫画版も有るんですよ。鯨庭さんの作品は趣があって美しく、水木しげるさんの作品は素朴で読みやすいですよ。

〈コミックス版〉作画:水木しげる

Amazon・Kindle〈コミック版〉作画:鯨庭(くじらば)
Thank you!
では、またね😊


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