2025年の1〜2月の本の感想や考察記事のまとめです。ジャンルは文学2(専門書・学術書・実用書など)、著者はヘンリー・D・ソロー、村山斉、大平貴之、宮本武蔵、南方熊楠、柳田國男です(敬称略)。
【文学2】文系著書
五輪書/宮本武蔵
60数戦して不敗という伝説をもつ、江戸時代初期の剣術家・宮本武蔵さんの兵法書。
現代の法や道徳的にアレな部分も多々有るので、啓発書や人生のバイブルにはならないでしょう。しかしプロフェッショナルな兵法者の本だけあって、現代社会で生き抜くヒントや、行動の指針の参考になりそうなことが書かれている。
宮本武蔵さんは逸話や伝説らしきものは多く残っているけど、実は案外真実が判っていない部分も多いので、シリーズもの記事にして、感想だけでなく推測や考察などもしてみました。
宮本武蔵さんの想いや人生観も垣間見えてきて、なかなか興味深い本でしたよ。『五輪書』の『空之巻』についての部分だけでも読む価値はあると思いました。
十二支考/南方熊楠
博物学者・生物学者・民俗学者の南方熊楠さんによる十二支、いや、牛(丑)を除く十一支の動物に関して説話、伝説、神話など様々な知識を詰め込んだ民俗学エッセイ。
南方熊楠さんといえば、柳田国男さんとともに草創期の日本民俗学を先導した人。しかも物凄い博識だった。まごうことなき知の巨人。
とはいえ本書は、大衆向けに書かれているので文章は平易。
おまけに下ネタ有りで、ちょこちょこ脱線しながら博学的な知識を惜しみなく書き記してくれているので、楽しく読める。
南方熊楠さんなりに、読者が飽きないに配慮したつもりというか、サービス精神のつもりだったのかもしれないですね。
本人も楽しみながら執筆されていたんじゃないだろうか。
南方熊楠さんの入門書としても最適な一冊だと思う。
遠野物語/柳田國男
古き良き岩手県遠野地方の住民達が信じてきた、摩訶不思議な話の数々が収録されている記録文です。
柳田國男さんといえば、日本の民俗学の祖と称される方ですね。摩訶不思議な伝説や民話を研究するのも、民俗学に含まれるので、門外漢でも案外面白く読めるものが多い。『遠野物語』もそのひとつだ。
幻想的で素朴でノスタルジックな世界を楽しめる一冊だと思う。
【文学2】自然・理数系著書他
ウォールデン 森の生活/ヘンリー・D・ソロー
アメリカの超絶主義者ソローさんが、森で2年2か月生活してみた回顧録。
ナチュラリストやアウトドア派のバイブル的なロングセラーだそうです。
スピリチュアルな探求と評されることもあるようだが、私的にはスピってるようには全然思えなかった。
今どきのスピ界隈で飛び交っている「愛です!ポジティブです!気づきです!学びです!必然です!アセンションが〜、高波動が〜、ライトワーカーが〜、引き寄せが〜」などは一切書かれていませんでした。っていう意味ですけどね。
すごく思想的ではある。啓発的でもある。
自立心を養い、物質的に豊かな暮らしよりも、精神的に豊かな暮らしに価値を見出そう、といった感じでしたね。
ミニマリスト、ナチュラリスト、啓発に興味がある方、この社会に違和感を感じている方にもおすすめしたい本でした。
宇宙は何でできているのか/村山斉
2011年度の新書大賞を受賞した本です。
素粒子物理学からのアプローチで、宇宙の謎に迫っています。学生さんや、素粒子物理学の初心者を対象にした本だと思います。
難解な素粒子理論を易しく分かりやすく説明してくれていますし、宇宙のトリビア的なことも沢山書かれているので、楽しく宇宙について学べる一冊だと思う。
ヒッグス粒子発見前に書かれた著書ですが、ヒッグス粒子についての説明もありましたよ。
宇宙や素粒子物理学は門外漢なので専門書は難しすぎる。でも興味は有る。という方にはイチオシの一冊だと思う。
プラネタリウムを作りました。/大平貴之
幼い頃から夢を実現させたプラネタリウム・クリエーター大平貴之さんの、製作ヒストリーを綴った自伝。テレビドラマ化されるほど人気のある本です。
羨ましくなるほど良き人生だと思うし、感動もできた。読んだ後、自分も何かを頑張りたい気分にもなったね(笑)。
プラネタリウムやメカニカルな専門知識がなくても全然大丈夫。万人が楽しめる良書だと思う。