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【感想】週末の縄文人/週末縄文人|サラリーマンの体験型実録書

3.02.2025

文学2

草むらに置かれた火焔土器

ユーチューバーの縄さんと文さんによる『週末の縄文人』は、YouTubeチャンネル『週末縄文人』を書籍化したものです。サラリーマンの二人が週末限定で山にこもって、縄文人の生活をしてみた様子を綴っている。

『週末の縄文人』書籍情報


カテゴリとジャンル:〈文学2〉文系著書・歴史・ノンフィクション

タイトル:週末の縄文人
作  者:週末縄文人(縄・文)

・週末縄文人 縄(じょう)
サラリーマン。秋田県出身。1991年〜。

・週末縄文人 文(もん)
サラリーマン。東京都出身。1992年〜。


 簡単な内容紹介 

縄文時代の暮らしの、体験型の実録書といったところ。

読書難易度:
簡単です。読み易いです。

感想・レビュー

縄文時代(じょうもんじだい)は、日本列島における時代区分の一つである。旧石器時代の後に当たり、世界史では中石器時代、または新石器時代に相当する時代のことである。

引用:Wikipedia/縄文時代

退屈しのぎで手にした一冊なんですけど、最高に面白かった。
なんてシュールな良書。なんて素敵な人達。体験することで分かってくる真実もあるのだなぁと思った。

前に紹介した、ヘンリー・D・ソローさんが森の中で自給自足生活した回顧録『ウォールデン 森の生活』とは、雰囲気が随分違いますね。
縄さんと文さんの視点は、思想的ではないです。かといって考古学的な学術書でもない。
趣味で週末だけ山に入ってサバイバルな縄文活動をしてみました、というチャレンジ系のノンフィクションかエッセイといった感じの楽しい本でしたよ。

なお縄文時代のことについては、入門書的な著書のレビュー記事【特集】知られざるシリーズ/譽田亜紀子|縄文・弥生・古墳もよかったらそちらも読んでくみてくださいませ。

【POINT1】時代を超えた二重生活 

作者である週末縄文人の、縄(じょう)さんと文(もん)さんの二人は、平日は都内にお勤めのアラサーのサラリーマン。背が高いほうが縄さん、がっしりしているほうが文さん。二人は会社の同僚だそうだ。

彼らは週末限定で山にこもって、ゼロから試行錯誤しながら色んなものを作ったりしながら、縄文人の生活を送っている。二重生活している感じですね😆

でも週末だけとはいえ、中途半端じゃなくて本気の縄文生活なんですよ。
凄く大変そうなんだけど、縄さんも文さんも楽しそうですし、実に微笑ましい。

平日は現代で暮らし、週末は縄文時代で暮らしているなんて最高の趣味、いや、最高の生活だね。

【POINT2】文明を築いているかのようだ 

彼らは週末になると、何もないところから火を熾したり、ヒモを撚ったり、石を研磨しまくって斧を作ったり、失敗を繰り返しながら何とか土器を焼きあげたりしていらっしゃる。
木を伐採して竪穴式住居を作るところとか、まぁ凄すぎる。感動した👍

縄文時代って文明と呼ぶには微妙な時代かもしれませんけど、でもなんだかお二人で文明を築いているような感じ(錯覚?)さえするんですよ(笑)。
いやぁ、超面白くて実に素晴らしい✨お二人に憧れすら感じてしまった。なんなら、仲間に入れて欲しいくらいだ(笑)。

 人類の軌跡 

補足

1万7000年前~1万5000年前の間のどこかで始まって、紀元前300年頃までが縄文時代

予備知識というほどでもないけれど、ここでちょっと歴史に触れておこうか。

ホモサピエンスがアフリカから旅立ち、世界中に散らばっていったのが確か5〜6万年くらい前。
敵がいたのか食料事情なのか理由は知らないけれど、住み慣れた土地に別れを告げて、ゴール無き旅に出るには深刻な事情があったのだろう。

そして新天地にたどり着いた当初は平和に暮らしていたが、人が増えれば序列が生まれ、権力欲・支配欲を覚え、強権的な支配者達が生まれ、争いに発展していくんですよね。

かつての日本もそうだった。
日本に貧富の差と序列が生まれたきっかけは2500年〜3000年前に伝来した米、と聞いたことがある。米に罪は無いが。

勿論、一万年ほど続いた縄文時代だって、それなりに争いはあっただろう。石斧や矢尻による殺傷人骨も発掘されているようですし。
あと貝塚(=ゴミ捨て場)には調理痕のある人骨も見つかっているから、カニバリズムされた人もいたんだろう。信仰上の理由か、食糧不足が原因だったのかは知らないけれど。

そういうことがあったとしても、まだ概ね平和な時代だったんでしょうね。おそらく日本は縄文時代が最も平和だった。
縄文人の平均寿命は30歳前後と短命だったけれど、幸福度は高かったかもしれないね。

縄文人が土をコネコネしていた頃

土偶にせよ土器にせよ、縄文人のデザインセンスは素晴らしいね。
「君の土器の縄目模様はエモいな👍」「君の作った土偶の体型だって尊いぞ👍」みたいな感じで、ほのぼのとした意見を交わしながら、仲間同士で切磋琢磨していたんだろうか?

縄文人が平和に土をコネコネ、あーコネコネしていた頃、海外では

・1万6000年くらい前
現在の人類・ホモサピエンスがようやく南米大陸に到達。

・紀元前4500年頃
世界初の国家となる、シュメール都市国家がイラクに誕生する。

・紀元前2250年頃
エジプト人は「ギザにでっかいピラミッド建造しようぜ!」と頑張っていた。

・紀元前1500年頃
インドでは紀元前2500年頃から始まったインダス文明が滅亡してしまう。

・諸説あるが紀元前1300年頃
モーセが紅海をかち割った後、シナイ砂漠で40年間も迷子に…もとい、流浪していた。

・諸説あるが紀元前数百年頃
インドでは釈迦が、家も妻子も捨てて仕事もせずにホームレス…もとい、出家して悟っていた。

・だいたい釈迦と同じ頃
中国では『論語』でお馴染みの孔子が《礼》とか《仁》とか小難しいことを説き、『孫子』でお馴染みの孫武が軍事戦略マニュアル(兵法)を説いていた。

ということで、
文化や文明には上下や優劣なんて無いけれど、当時の日本が海外よりも遅れていたのは、それだけ平和で不満が少なくて、おまけに人口も少なかったとか色んな要因が重なったんでしょうね、きっと。
だって縄文人が知能的に残念だったとは考え難いので。

 あえて欲を言えば 

失礼ながら、なんとなく文章が慣れていない感じがした。プロのライターではない方の著書なので、しょうがないんでしょうけど。
あとなぜか文章が横書き。私的には縦書きの方が良かったな。

写真は美しい。けれど美しさよりも分かりやすさ重視の写真にして欲しかった。 或いは美に拘りたいなら、いっそ全ページフルカラーの写真集みたいな本にした方が良かったのでは?と思った。

要するにどことなく中途半端。そこを差し引いても凄く面白い本ですけどね。なんせ内容が尊いので。

まとめ

今回は、週末縄文人(縄・文)さんの『週末の縄文人』のレビューでした。

YouTubeの補足本か解説本といった感じなので、動画を一通り見てから読んだ方が本書をより楽しめると思う。

本書では動画の裏話や、土器や石斧の作り方がわかるコラムが書かれていて読んでいてホント楽しい。
続編として、古墳時代や弥生時代バージョンもぜひ出版して欲しいと思った。

アウトドアがお好きな方や縄文時代に興味をお持ちの方は勿論、そうでない方でもきっとワクワクできると思うので、良かったら読んでみてくださいね。

.Thank you !.
 では、またね😊


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