石田ゆうすけさんは、自転車の旅をパワフルに綴る旅行エッセイスト。今回は紀行エッセイ『世界9万5000km自転車ひとり旅』の三部作シリーズを紹介します。
書籍情報
石田ゆうすけ
旅作家、エッセイスト。和歌山県出身。1969年〜。
1989年に自転車で日本一周を達成。2002年に自転車で世界一周を達成。
感想・レビュー
石田ゆうすけさんって、自転車世界一周もののエッセイを何冊か出版されているんですが、文章は読み易いし、内容も面白いし、気さくな人柄が見えてくるので、このジャンルでは一番人気な方じゃないでしょうか。
行かずに死ねるか!
世界9万5000km自転車ひとり旅の三部作の第1弾『行かずに死ねるか!:世界9万5000km自転車ひとり旅』。
石田さんがチャリダーとして7年4ヶ月を費やして世界一周した話です。
シリーズの中でこれが一番面白かった。
北米から始まり南米へ。ヨーロッパに渡り、アフリカ縦断。中東に戻りアジアへ。そして日本に戻ってくる。
走った距離が9万5000kim!なんという行動力だ。凄いね。
旅先で一期一会の景色、土地の人、そして友。感動あり、笑いあり、涙あり、ハプニングあり。時には困難や危険なこともあり。
波瀾万丈で濃厚な旅を綴っている。
若さと体力とタフでおおらかで柔軟な心がないと、とてもじゃないができないだろうな、こんな一人旅。
素晴らしくキラッキラな体験ができて良かったね、と思った。宝物のような思い出なんでしょう。実に羨ましい。
いちばん危険なトイレといちばんの星空
『行かずに死ねるか!』に続く三部作の第2弾『いちばん危険なトイレといちばんの星空:世界9万5000km自転車ひとり旅2』。
世界中のトイレ事情とガッツリ向かい合って熱く語っている本かな?レアなテーマだねぇ(笑)。と思ったら、前作の補足版みたいな感じの紀行文だった。
トイレのことも少しだけ書かれてありましたけども。
石田さんが訪れた国87ヶ国。
その中で不味かった食べ物、嫌いな国、危険な動物、美人の多い国、こわい場所とか、石田さんが独断で選んだ世界一をエピソードと共に綴っている。
第1弾には書かれていないエピソードも有れば、被っているところもあったね。二匹目のドジョウを狙った感がしなくもない。
それはともかく、前作の感動や面白さには敵わないけれど、結構楽しかった。
第1弾が、もの凄くパワーのある本だったので、第2弾がパワーダウンしたように感じてしまうのは仕方ないのかな。
洗面器でヤギごはん
『いちばん危険なトイレといちばんの星空』に続く三部作の第3弾『洗面器でヤギごはん:世界9万5000km自転車ひとり旅3』。
んー、三匹目のドジョウまで狙った感がしなくもない。
でもこれも相変わらず面白かった。
石田さんが、自転車で7年4ヶ月も世界中を旅した飲食エピソードが綴られている。
美味しいもの、不味いもの、変わった食べ物など各国のローカル食と共に人々との出会いも書かれていて、読んでいて楽しい。
特にアフリカとアジアが面白かった。
余談・私の異国ドラマ・食
自転車で旅をしたこともないし、世界一周したこともないけれど、私も海外で類似のことがあったな、類似のものを食べたな、と懐かしい気持ちで読んだエピソードがいくつかあった。
食についてなら、例えばワニとか、虫とか。ご飯といちごソースと生クリームがコラボした類似の怪スイーツとか私も海外で食べたわ。海外の食にはわりと躊躇無い方ですが、犬はさすがに無理だった💧
食絡みでいえば、海外で友人の愛犬が盗まれて肉屋に売られてしまったことがあった。グロい悲話なので詳細書けないけどね😭
私が日本のカレールウを現地人にプレゼントしたばっかりに、私に懐いていた鶏がカレーの具になっちゃったり😭
ガチで車で拉致・誘拐されたかと思ったら、一度だけ挨拶を交わしたことがある大富豪夫婦が、豪華な料理をご馳走してくれただけだったり🙏
でもその夫婦には、私の雇ったドライバーを買収してでも(⇐驚😂)、家に招いて(?)ご馳走して、ついでに手を差し伸べたかった意外な理由があったり。
某国で国際的事件が起きて、私は現地に取り残され食うものに困っていた。
その時、体調壊して寝込んだ私のために、ゴーストタウンを歩き回ってオレンジジュースとパンをゲットしてくれた欧米人(現地に取り残された人)がいたり🙏
それを知った現地人夫婦が、毎日たらふくタダメシ食わせてくれたり🙏
言い出したらキリが無い。ホント懐かしいな。
誰しも海外へ行くと、日本の日常とは違うドラマが待っているもんだぁね。個々によってスケールは違うけども。
私も海外にいた頃の思い出を自分用の備忘録として書き残しておこうか、という気持ちになった。思っただけで書きませんが(笑)
まとめ
今回は、石田ゆうすけさんの『世界9万5000km自転車ひとり旅』の三部作シリーズのご紹介でした。
三冊とも読破したわけですが、特におすすめなのは第1弾の『行かずに死ねるか!』でした。
桁違いに壮大な旅行記ですが、軽快な文章なのでスラスラと読めるし、筆者と一緒に冒険しているかのような気分になれる楽しい本です。国の文化や民族の気質などもわかって面白かった。
石田さんのエッセイは、《旅行》というより《旅》と表現する方が似合う。
沢木耕太郎さんの『深夜特急』のように、自分も旅立ちたくなる本でした。
石田さんって、きっとカリスマ・チャリダーなんだろうな。そして豊かな人生を送っている人なんだろう。
一応シリーズ本ですが、気になる本一冊だけでも問題なく楽しめますよ。
どれもワクワク感があって面白いし気軽に読める内容なので、良かったら手にしてみてくださいませ。
『地図を破って行ってやれ!!自転車で、食って笑って、涙する旅』と『道の先まで行ってやれ!!自転車で、飲んで笑って、涙する旅』。
どちらも石田ゆうすけさんが、自転車で世界一周後に国内を旅した紀行エッセイです。
実はこちらの二冊もレビューするつもりだったのですが…
『世界9万5000km自転車ひとり旅』の三部作シリーズは、どれも面白かった。けれど三冊イッキ読みしたせいで、さすがに食傷気味になっちゃったんですよ。
それでこの国内編の二冊は、もはや読書テンションが維持できなくなり、パラパラーッと斜め読みしかできなかった💧
なので関連書籍として紹介しておくことにしました。
『世界9万5000km自転車ひとり旅』の三部作シリーズのスケールには劣るけど、日本の旅もなかなかどうして👍と思える面白そうな本でしたよ。
私もいつかじっくり読んでみようと思う。