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【感想】フェルマーの最終定理/サイモン・シン|数学者達の苦闘

3.22.2025

文学2

黒板に書かれたピュタゴラスの定理

サイモン・シンさんの『フェルマーの最終定理』は、数学の超難問「フェルマーの定理」が証明されるまでの数学者達の苦闘を描く壮大な数学ノンフィクション。

『フェルマーの最終定理』書籍情報


カテゴリとジャンル:〈文学2〉理数系著書・数学・ノンフィクション

タイトル:フェルマーの最終定理
作  者:サイモン・シン(Simon Singh)
プロデューサー、ジャーナリスト、サイエンス・ライター。イギリス出身。1964年〜。
博士号(ケンブリッジ大学大学院)、名誉博士号(ラフバラー大学、サザンプトン大学)。大英帝国勲章(MBE)受章。ケルヴィン賞 (2008年)、 Leelavati Award (2010年)。


 簡単な内容紹介 

フェルマーの最終定理を、数学の歴史を中心に解説したノンフィクション。

読書難易度:
数学の専門知識が無くても読める。
ある程度数学者に詳しい人や、フェルマーの最終定理に関する歴史をご存知の人ですと、既に知っている内容ばかりで退屈かもしれません。

感想・レビュー

サイモン・シンさんは、科学や数学に関する難解なテーマを歴史的背景や人間ドラマなどと共に分かりやすく解説する世界的に人気のノンフィクション作家。理数系がお好きな方ならご存知の方も多いんじゃないでしょうか。

【POINT1】一般人向け 

フェルマーの最終定理って、定理自体は大学院でガッツリ数学と向かい合ったとか、数学のめっちゃ上級者なら丸っと理解できるかもしれませんが、一般人には全てを深く理解するのは無理だと思うなぁ。
勿論、私も無理ですね😊

しかしこの本なら、定理はともかく、それなりに理解して読み切ることが可能なんですよ!

主にアンドリュー・ワイルズさんへの取材をもとに執筆しているんですが、数式だけじゃなくて人間にもフォーカスしているし、古代ギリシャでのピタゴラス教団の成り立ちや、ガロアの悲劇的結末など、数学絡みの歴史的なことも書かれている。
なので数学にちょっと興味があれば、初学者や数学が苦手な方でも楽しめるんですよ。 サイモン・シンさんって一般人に優しい人だ。

また、フェルマーの最終定理の証明に日本人も絡んでいるので、面白いと思います。


補足
・アンドリュー・ワイルズ
イギリスの数学者、大学教授。1953年〜。

・ピエール・ド・フェルマー
フランスの裁判官、アマチュア数学者。1601〜1665年。

・ピュタゴラス
古代ギリシャの数学者、哲学者。紀元前582〜紀元前496年。

【POINT2】ピュタゴラスとフェルマー 

さてフェルマーさんの前に、まずピュタゴラス。

中学生くらいの時に名前を聞いたことがあるだろう。
ピュタゴラスの定理の人なので数学者、科学者というイメージが強いけど、狂信的なピュタゴラス教団の教祖様でもあった。そのへんの事も書かれていて面白かった。

ところで“ピュタゴラスの定理”って覚えてますか?

直角三角形の、直角に交わる二辺の長さをそれぞれx,y、斜辺の長さをzとした時、どんな直角三角形についても

(xの2乗)+(yの2乗)=(zの2乗)

になるってやつ。いやー、懐かしいなー。社会人になってからは、一度もご縁がなかった定理ですわ(笑)

それはともかく、360年ほど前にフェルマーさんは、このピタゴラスの定理を下記のように発展させたわけです。
nを自然数(n=1,2,3,4…)とした時、

(xのn乗)+(yのn乗)=(zのn乗)

を満たす整数解x,y,zが存在するのか?
たとえば

(xの3乗)+(yの3乗)=(zの3乗)
(xの4乗)+(yの4乗)=(zの4乗)
(xの5乗)+(yの5乗)=(zの5乗)

といった式が成り立つ整数解x,y,zはあるのか?

とフェルマーさんは考えた。ほぉー、よくそんなこと思いついたね(笑)。頭の良い人って数学的発想も凄いね。
さらにフェルマーさんは、多分答えに辿り着いて「あっ!わかったーっ!💡」ってなる感覚を体感したのでしょう。さぞ嬉しかったことでしょう。想像ですけど(笑)。
そして余白が足りないていう主旨の謎の満ちたメッセージだけ残して、肝心の証明は書かなかった。

「俺、こんな凄いことを発見したぜ!でも答えはナ・イ・ショ♡ 解けるもんなら解いてみな😆」という煽りなのか、教えたくなかったのか分からんけど、謎のメッセージは数学者達への挑戦状になってしまった。
やるじゃないか、フェルマーさん👍と言いたいところだが、

失うものも無いのに何故そこで紙をケチった?ちゃんと証明を書き残していたら、今の数学界隈はもっと進歩していたかもしれんのに。と聞きたくなった。

結局、そのメッセージのおかげで約360年もの間、数学者達がアツくなってしまったってわけだ。なんともドラマチックな話だね。

まとめ

今回はサイモン・シンさんの『フェルマーの最終定理』の感想でした。

知的好奇心を良い感じで刺激してくれる良書でした。この本ならきっと数学が苦手な方も、ちょっと数学が好きになるんじゃないでしょうか。
勿論、数学を愛してやまない人も、数学は得意ではないけれど興味をお持ちの方も、学生さんにもオススメしたい一冊でしたよ。
よかったら手に取ってみてくださいね。数学の美しさを知る人達の世界を垣間見せてもらえますよ。

 関連書籍1 

学生さんや、サイモン・シンさんの『フェルマーの最終定理』はちょっと敷居が高いと感じた方はこちらがオススメ。

〈小説版〉著者:結城浩

結城浩さんの『数学ガール』シリーズ第2弾。
高校生が数学の問題に挑戦しながら、対話形式で数学の問題を分かり易く解説してくれているラノベ風の物語形式の数学本。

『数学ガール』にはコミック版もあるんですよ。全3巻です。さすが人気シリーズだ。

〈コミック版〉著者:結城浩、春日旬

サイモンさんの本には、サイモンさんなりの良さがあって読み物として大変面白い。一方『数学ガール』は、楽しく勉強するための入門書といった感じでとっつきやすいと思う。

既にサイモンさんの『フェルマーの最終定理』を読まれた方にはコレは不要かな。復習のつもりで読んでみるのはアリかもしれませんが。

 関連書籍2 

サイモン・シンさんの『フェルマーの最終定理』では物足りない方や、数学に思いっきり明るいガチ勢さんなら、こちらの名著がおすすめ(予備知識必須)。

著者:加藤和也、黒川信重、斎藤毅

著者:黒川信重、栗原将人、斎藤毅

著者:斎藤毅
Thank you!
では、またね😊


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