村山斉さんの『宇宙は何でできているのか:素粒子物理学で説く宇宙の謎』は、素粒子物理学の基本中の基本を、優しく分かりやすい言葉で説明した本。さらにそこから最も広大である宇宙の謎に迫っている。
『宇宙は何でできているのか』書籍情報
タイトル:宇宙は何でできているのか:素粒子物理学で説く宇宙の謎
作 者:村山斉(むらやまひとし)
物理学者。東京都出身。1964年〜。
専門は素粒子理論。学位は理学博士。
西宮湯川記念賞。本書で新書大賞2011大賞を受賞。
簡単な内容紹介
素粒子物理学の基本を、初心者🔰にも分かりやすく説明し、「宇宙はどのように始まったのか?」「私達はなぜ存在しているのか?」「宇宙はこれからどうなるのか?」という謎に迫っている。
読書難易度:
前半は簡単。後半はちょっと難しくなる。予備知識が無くても楽しめるが、もし本書をより深く理解したい場合は、相対性理論や量子論の予備知識は多少あった方が良さげ。
感想・レビュー
物質を作る究極の粒子である素粒子。物質の根源を探る素粒子研究はそのまま宇宙誕生の謎解きに通じるという。この世で最も大きな宇宙を、最も小さい素粒子で解明しようという壮大な本だった。
私は、どのような細事でも宇宙創生から絶えることなく続いた結果、現在があるのだから、ミクロとマクロを同時に見つめている人は、より多くのことを見ていると思っているので、本書に興味を持ったわけだが・・・。
いやぁ、読みだしたら眠れなくなる面白さ!
たとえば、誕生直後の宇宙は、素粒子が原子にならない状態でバラバラに飛び交う高温高圧の火の玉だったとか。
宇宙に存在するニュートリノを全部集めると、宇宙にある全ての星とほぼ同じ質量になるとか。
反物質のエネルギーは、僅か0.25gで原爆並みとか。
鉄より重い銅、銀、金、鉛などの元素は、どのように作られたのかまだ判明していないとか。
地球は太陽の周りを秒速30Kmで回っていて、太陽系も天の川銀河の中心を秒速220Kmで回っている。 などなど、他にも色々と宇宙のトリビア的な面白いことが書かれていた。
本書は、予想されていたヒッグス粒子が発見(2012年)されるちょっと前、2010年出版されてベストセラーになったんですが、既にヒッグスについても書かれている。
ちなみにヒッグスが消滅したらその10億分の1秒後には、私たちの体は爆発してしまうそうだ。凄いね。
【POINT1】ウロボロス
この世で最も大きいのが宇宙で10の27乗メートル。最も小さいのが素粒子が10のマイナス35乗メートル。果てしなく遠い関係にありそうな2つだが、実は密接な繋がりあるという。
ビッグバン宇宙論をもとに宇宙の歴史を遡っていくと、その世界はどんどん小さくなり素粒子にたどり着く。だから素粒子や素粒子に働く力を調べると宇宙の成り立ちが分かるっていう理屈だ。
これを古代ギリシャのシンボル、ウロボロスの蛇に喩えて、読者に理解できるように説明してくれている。
自分の尾を噛んで飲み込んで円形状になった蛇または竜のこと。循環性、永続性、始原性、無限性、完全性などの象徴。
【POINT2】お気づきと思いますが
後半は、素粒子物理学には少しも明るくない私🔰にはちょっと難しかった。
時々「お気づきと思いますが〜」みたいな前置きのセリフが入っているんだが、こっち🔰はそのたびに「何が???」ってなるのがちょっぴり悲しい💧
ところが、分からない部分はあんまり気にせずに読み進めていくと、なんとなく分かった気になる稀有な本だった(なんでだろー?😆)。
つまり知的好奇心を大いに満たしてくれた本なのだ👍
まとめ
今回は村山斉さんの素粒子物理学の著書『宇宙は何でできているのか:素粒子物理学で説く宇宙の謎』のレビューでした。
とても面白かった!10年以上前の本だけど、内容は基本的なことが書かれているので初心者🔰なら問題無しだと思う。
宇宙に興味をお持ちの方や、理数系が好きな方、素粒子宇宙論の入門書を探している方にもオススメしたい良書だったよ。
素粒子についてガッツリ勉強したいわけじゃないし、数学も科学も苦手💧だけど宇宙や素粒子にはちょっとだけ興味がある。という方でも楽しめる本だと思うので、良かったら手にとってみてくださいね。
素粒子が漂う空間も、つまるところ広大な宇宙と同じかもねぇ。
豊饒な世界だね。
そんなことを思った。
ちなみに、さらに易しい素粒子物理学の本ならコレ。
2022年に発刊された村山斉さん監修の本『ニュートン式 超図解 最強に面白い!! 素粒子』。
素粒子物理学の、超初心者向けの、超入門書ってところ。
とにかく易しく優しく説明することにポイントを置いているので、数式も一切無い。
物理学を学んだことがない方でも気軽に読める一冊だと思います。こちらも面白いですよ。
『宇宙は何でできているのか』の記事は、こちらでも紹介しています。