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【感想】孫子/孫武|現代社会を生き抜くヒントになり得る兵法書

7.21.2025

文学2

自転車に乗ったパンダの隣に、白い文字で孫子と書かれている。

孫武さんの『孫子』は、2500年ほど前の中国で書かれた、最古にして最高の兵法書。現代社会においても十分に役立つことが書かれている超ロングセラーです。

『孫子』書籍情報


カテゴリとジャンル:〈文学2〉文系著書・兵法書・中華思想

タイトル:孫子
作  者:孫武(そんぶ)
中国古代・春秋時代の武将、軍事思想家。斉国出身。紀元前536年頃〜没年不詳。孫子とは、孫武(そんぶ)の尊称。


 簡単な内容紹介 

兵法書ですが、勝負事だけでなく、ビジネスでも役に立ちそうなことや、人格と知恵の必要性などが説かれている。

読書難易度:
現代語訳なら読むのは簡単。ただし兵法書なので万人向けとは言い難い。

感想・レビュー

孫武の有名な名言と言えば『孫子』の、兵法の第三章、謀攻篇に出てくる一節

知彼知己、百戰不殆

引用:孫子(孫武)

(彼を知り己を知れば百戦して殆うからず)ですね。《敵》でも《彼》でもなく、《皮》が正しいとする説もあるようですが。

 読者と『孫子』 

さて、『孫子』ですが、これは兵法書なのでお子様向けではありません。
社会人向け。戦争について語ってはいるものの、兵を使って間接的にアプローチする戦略の話が主軸。つまり下っ端の使い方が書いてある。故に下っ端が読むと、自分の上司や社長にガッカリするかもしれません。
戦争とは無縁の一般人にとっては、そんな感じの本(笑)。

また人によっては、ただ勝てばいいの?それだけでいいの?人をただの駒だと見做しているの?という疑問が生じるかもしれません。好戦的ではないけど偏向的なので、受け付けない人もいるんじゃないかなと思う。

しかし経営者や組織のリーダー、部下がいるポジションの人なら間違いなくバイブルになり得る一冊。それに現代の情報化社会でも大いに活用できるんじゃないでしょうか。そういう意味で実用的。

なお、もし兵法を現代社会で活すなら、著者である孫武や兵法の話題を他人に話すのは非推奨。手の内を明かすようなものですし、小賢しい奴だと認定される可能性大ですもん。なので、こっそり読むのが吉ですな(笑)。
ええ、私もこっそり読んだクチです👍活用する機会はありませんが。

ちなみに同じ兵法書でも宮本武蔵さんの『五輪書』なら、おおっぴらに読んでもイメージダウンには繋がらない気がしますけども。実は宮本さんの本もけっこうエグいことが書いてあるんですけどね。
やっぱり日本の剣豪という肩書きがある方は別格ですな。

 世界秩序と人類の未来と『孫子』 

かつて明日を生きれる保証もなく戦ってきた戦国時代の人々と、現在生きている人間というか民族のDNAや精神性の基本ベースって、どれだけ変わったのだろう?
人間って、本質部分は昔とさほど変わっていないんじゃないだろうか。だから『孫子』は今でも通用するんじゃないだろうか。

例えば日本人。
今も昔も殆どの人が、豊かな暮らしの中で平穏に天寿を全うしたいと望むのが普通だと思うけども、大昔は切腹しろと命じられたら自分で腹を切り、戦時中は特攻を命じられれば自ら敵に体当たりして戦死。
平和が訪れた戦後の昭和後期から平成にかけては、長時間労働を命じられれば、安月給で過労死や過労自死するまで働く人が大勢いた。
良くも悪くも空気を読んで「皆がそうするから自分もやらなきゃ」という意識が働き、「仕方ないよね…」で納得してしまう。そんな理由で権力サイドに命を捧げかねない危うい一面を持っているのは、日本人ならでは。

世界に目を向ければ、今も海外では武力行使の戦いが起きている。けれども、それ以外に世界を巻き込んだ貿易戦争・経済戦争といえそうな事態も起きている。
この先世界は、いや、日本だってどうなることやら。戦勝国なんて呼べる国はどこにも無く、世界中が負けるっていう結末もあり得なくもない。

それだけじゃない。現在の人類は、環境問題やエネルギー問題、領土問題、人口問題や食料問題その他、懸念材料が山積みだ。
日常が不気味な何かに静かに侵食されいくのを、誰もが身近に感じているだろう。
ネガティブな可能性だけを抽出して信じ込むのも非合理的だけど、色々と闇深き時代ではあるねぇ。

この闇が夜明け前の最も暗い時なのか?人類が辿り着くのはユートピアか、ディストピアか?それとも…
もしもポストアポカリプスなら、人類の知性はそれまでだった、ってことになるのかな?
人類は、今与えられている体と脳ミソで、どこまで頑張れるのだろう?如何なる問題も争いには発展して欲しくないな。

未来に不安を感じても、未来を知る者はいない。
けれど誰もが知っている栄枯盛衰、諸行無常。いつかは終わりに辿り着く。
辿り着くまでの時は短いのか長いのか…、どうだろうなぁ。
いずれにせよ戦わずして生き残り、良き善き未来に繋がっていくならそれに越したことはないね。

※こちらは改訂版です。

色んな出版社から孫子関連の本が出ているが、第三者の余計な解説や解釈が無く、原文・書き下し文・現代語訳で書かれている岩波文庫の『新訂 孫子』が一番のオススメ。読みやすいよ。

まとめ

今回は、2500年ほど昔に孫武さんが執筆された兵法書『孫子』の感想でした。

この本の印象は、リーダー的ポジションの方の実用書としては、良いことが沢山書かれている。
けれど、豊かな精神性を育むとか道徳をコンセプトにして説いているわけではないから、人生のバイブルにはなり得ないと思う。
でもこんな時代だからこそ、人間社会で生きていくうえで一度くらいは目を通しても良いんじゃないかなー、読んで損は無いんじゃないかなー、と思える良書でもあったよ。

機会があればぜひ手にとってみてくださいね。。

 関連書籍 

180年ほど前に執筆された戦争と軍事戦略に関する本。軍事論として『孫子』と並び定番、というかマニュアル本となっている古典的な名著。

著者:カール・フォン・クラウゼヴィッツ

『孫子』は、「戦わずに勝てるならそれに越したことはない」というスタンスで書かれた本でした。

一方クラウゼヴィッツさんの『戦争論』は、随分前にパラパラっと流し読みしたことがあるのですが、こちらは「被害が甚大でもかまわん!とにかく勝つべし!」というスタンスで書かれていましたね。
想像の範疇を出ませんが、第二次世界大戦で米軍が硫黄島を攻めてからの本土でとどめを刺した流れって…💧とか読みながら色々想像してしまいました。

難解で読みにくく、文章量も多いので読む人を選ぶ本ですが、戦争論に興味がある方の必読書のようです。

なお、文章量をかなり減らした〈縮訳版〉もあります。

.Thank you !.
 では、またね😊


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