2025年3〜4月の記事のまとめ。ジャンルは文学1(日本と海外の文芸作品)、作家は路生よる、梨木香歩、坂口安吾、梶井基次郎、谷川俊太郎、ワイルド、ホーガン、テリー・ケイ(敬称略)。
【文学1】日本の文芸作品
地獄くらやみ花もなき/路生よる
コミックス版も出版されている和風ミステリ・ホラーの人気作品。第3回角川文庫キャラクター小説大賞読者賞受賞作です。
罪人が化け物に見えてしまうニート青年の遠野青児が、古ぼけた洋館で無料相談所を営む和装の美少年・西條皓と出会う。
二人がコンビを組んで事件を解決し、罪人を地獄に堕としていく物語。
二人の主人公が互いを信じて温かな絆を紡いでいく一方で、人の悪意の残酷さ、愚かさ、心の弱さもきっちり描写している。
ダークな世界観、個性的で濃いキャラ達も魅力的でした。
とても面白かった!
西の魔女が死んだ/梨木香歩
梨木香歩さんのデビュー作にして、日本児童文学者協会新人賞、新美南吉児童文学賞、第44回小学館文学賞受賞作品でもある。名作ベストセラーといえる作品だと思う。
不登校になった中学生まいちゃんは、英国人の祖母、田舎で暮らす“西の魔女”のもとで1ヶ月過ごすことになり、魔女の手ほどきを受けるハートウォーミングな物語。ファンタジー要素は殆どありません。
ちょっと啓発系なところもあるが、感動できる作品だった。まいちゃんと同じくらいの年齢だった頃に出会いたかった一冊でしたね。
素敵な物語でした。
桜の森の満開の下/坂口安吾
坂口安吾さんの坂口の代表作の一つ。短編小説。
峠の山賊が、妖艶な女に出会い狂わされてしまう幻想的な物語。
先ず文章が美しい。ビジュアルが浮かんでくる作品でした。
考えることを放棄して生きてきた山賊の男が、女を愛し、未知の恐ろしさを感じたり、自分の弱さを思い知らされたり、孤独が生じたりしていくところとか中々良かった。
それにしても虚無感、残酷さ、美しさ、孤独…、とにかく凄まじい😅
結構グロいシーンがあるので読む人を選ぶ作品ではあるが、ラストシーンは圧倒されるほど妖しく美しかった。
オスカー・ワイルドさんの『サロメ』を彷彿とさせる傑作でしたよ。
桜の樹の下には/梶井基次郎
「桜の木の下には死体が埋められている」という都市伝説(?)を耳にしたことがあるでしょうか?
そのネタ元になった本の一つなんですよね。
少々グロい表現も有るけれど、大変美しい文章で綴られているショートショートでしたよ。
梶井基次郎さんが死の予感の中で書いたんじゃないかなぁとか、作品に登場する「俺」は、梶井さん本人じゃないかなぁとか思わずにはいられない作品です。
自分なりに見出した真理を語っているので、内容は深くて重い。
短いのであっと言う間に読み終えちゃう作品ですので、機会があればぜひ読んで欲しいと思える名作でした。
二十億光年の孤独/谷川俊太郎
国語の教科書にも採用されている詩の名作。
国民的詩人と評される谷川俊太郎さんのデビュー詩集の中に収録されていた詩ですね。代表的な作品でもあり、詩の原点とも云える作品だと思う。
谷川さんって、言葉に命が宿ったかのような詩を創作できる方ですね。
この詩は、少年と思われる「僕」が、人間が抱えている不安や孤独な心を、宇宙規模な視点で語っている。
シンプルで平易でアッサリしているのに透明感があって、内容は案外深い。ユーモアさえある。
火星に想いを馳せるところも素敵だった。
少年の視点が宇宙から、くしゃみで再び小さな人間に戻るんですが、人は深遠の宇宙を内包しているのだなぁと思った。
孤独って美の源泉でしょうかね。
良い詩だなぁ。
【文学1】海外の文芸作品
サロメ/オスカー・ワイルド
聖書を元ネタにして、19世紀の世紀末文学としてアレンジされた戯曲の名作ですね。
残酷で美しい魔性の女絡みの狂気の物語なんですが、坂口安吾さんの『桜の森の満開の下』によく似ている。
どちらも生首を欲しがる女ですね。そして坂口安吾さんの作品では、桜の女、こちらは月の女ですね。
『桜の森の満開の下』がお好きな方なら、『サロメ』も気に入るんじゃないでしょうか。
ただ、坂口安吾さんの作品ほどグロさや湿気はありません。やはり西洋で創られた物語のせいか、割とカラっとしています。
あと、こちらは孤独というよりも寂しさを感じる作品でした。
『巨人たちの星』シリーズ/ホーガン
このシリーズの第一弾『星を継ぐもの』は、大好きだ。名作中の名作だと思う。
だが今回記事にした第二弾以降は正直に言うと、私の好みではなかった。シリーズ後半は読むことが段々苦行になってしまって、結局挫折しました💧
読破できなかったけれど、せっかくチャレンジしたので記事にしました😅
良い部分も残念な部分も、思ったことを正直に書いていこうというスタンスで始めたブログなので、あまり好意的な内容は書けませんでした。
でも決して駄作ではないと思いますよ。なんせ人気シリーズですしね。
ただ第二弾以降は、私の好みから外れてしまっただけだと思います。
白い犬とワルツを/テリー・ケイ
ドラマ化や映画化されるほど、大ベストセラーとなった大人のメルヘンです。
長年連れ添った妻と死別し、自らも病に侵されている老人サムが、白い犬と出会って、その犬を亡くなった妻のコウラだと思うようになる物語。
家族愛、夫婦愛、絆、人生の黄昏と病、生と死、喪失感などなかなか深いテーマを扱っているが、さほど重くは無い。
少しファンタジックですし、白い犬との心温まる交流があったりして、結構ほのぼのとしていた。
特に大きな展開は無くて、割と淡々と物語が進んでいくのですが、そこに静かな感動があった。
とても良い物語でしたよ。